注!)

当サイト常駐の剣帝とは設定が異なります。

その辺をご了承の上ご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

amante

 

真っ白な髪、真っ白な肌、真っ白な瞳。

透明で、あまりにも透明な斜光に輪郭を残して消えそうなソレに一瞬だけだがザンザスは確かに見惚れた。

だがすぐさま顔貌を歪め、殺気を滲ませた誰何を投げつける。

「なんだテメェは」

部下が大勢出入りする区画とは切り離され、他よりかはプライベートが守られた、ザンザスがそれなりに寛ぐ居間のカウチで悠々と足を伸ばして寛いでいる発育不良の少年。

「あん?」

ボルスター型のクッションを背に敷いて凭れていた肘掛けから背を起こす動作に、猫みてぇだなとザンザスは感想を抱いた。癖毛なのか立てているのかわからない跳ねた短い頭髪がそれを一層顕著にしている。しかしながらそれが不快を和らげる要因になりようもないので、威圧を込めて睥睨してやるが。

しかし相手は怖れたふうもなく細い肩を竦めて見せる。

「此処にいろって言われたから居るだけだぜぇ?」

「誰にだ」

間髪入れずに問い返せば、白い少年は嫌そうに顔を顰めた。それはザンザスにではなく、此処にいろと言った人物を思い出しての事のようだ。

それでも答えようと僅かに開かれた口腔内の肉感的なピンクに目を奪われていると、背後から唐突に声がかかった。

「私だ」

ざっと肌を泡立たせて振り返って威嚇し、ザンザスは接近に気づかなかった己に舌打ちする。

「テュールか」

アッシュグレイの髪をなでつけ、同色の瞳を細めて笑う相手に凝る静かな狂気。それに体躯が強張るのは常の事ながら腹立たしい。その萎縮を押さえつけ、屈辱と未熟とに怒りを燃え立たせてザンザスは剣帝と相対する。

「ひさしぶりだ、御曹司」

「テメェが本部に来るなんて珍しいじゃねぇか」

「此処は明るすぎて私にはちょっと眩しくて辛いんだが、呼ばれたら仕方ない」

肩を竦める男は自身が夜闇の住民であることを呼吸するのと同じくらいに自然なことと受け止めいている。

ゆったりと歩いてくる40手前の壮年の男が呼ばれるとは余程の大事だった。

最近そんな兆候はなかったはずだとざっと記憶を手繰って、長期にわたる後継者問題の件でなにか進展でもあったかと彼の胸は焦燥にじりじりと焼ける。

己の出自にザンザスの踏み締めていた確かな大地は揺らいで崩壊した。

だからこその不安を押し隠し、こいつは真実を知っているのかと赤眼で睨み付ける。

しかし剣帝はザンザスの不穏な気配を歯牙に掛けず、黙して成り行きを見ていた少年に歩み寄るとその肩を抱き頬に口付ける。面白くも無さそうにそれを受けた相手は、さらに密着しようとする男をもう良いだろうと押し返した。

不本意そうにもう一度今度は首筋に唇を落としてから渋々身を引いた男に、ザンザスは奇異なモノを見たとき同様驚愕に目を見張る。

剣帝は酷く気難しく、些細なことでも自身に反抗されることを何より忌み嫌う。

物も人も動物も関係なく、羽虫所か肩に着いた埃を払うかのように部下も同士すらも切り捨てる。

その男が拒絶を示され、容認している。なんの冗談だと軽く混乱する御曹司に、剣帝は白い少年を立たせて向き合わせた。

直立し、正面から初めて相対した相手の左の袖口がひらひらと揺れているのを見て、ザンザスはぎょっとした。

手首から先がない。

失ってから日が浅いのか、隻腕の少年がバランスが取りづらそうに身体をぐらつかせるのに肩を掴んで支えた剣帝は自慢げに告げた。

「紹介しよう。私の愛人で、スペルビだ」

スペルビ、傲慢と仏頂面で紹介された少年の肩書きに瞬間頭を真っ白にし、次いでザンザスは込み上げるままに嘲笑した。

「はっ!結構な趣味だなテュール!テメェにペドフィリアの気があるとは知らなかったぜ!」

侮蔑にも表情を変えず、むしろ男はザンザスを哀れむように嗤う。

「別に子供が好きというわけでもないが。女でも男でも、子供でも老人でも惹かれればなんで良い」

「動物でもかよ」

「勿論。問題ないさ」

あまりにも軽く返され、返答に詰まる子供にテュールは失笑する。それらに対して退屈そうに、くありと欠伸をしたスペルビが男の手を払いのけふらふらとカウチに戻ろうとする。

この様子からして、今度は寝てしまうつもりかも知れない。先程のぼんやりと宙に視線を彷徨わせていた姿を思い浮かべたザンザスの視線の先で、剣帝が細い右腕を取った。

「ああ、待て待て。もう用は終わったから此処をでる」

「それをさっさと言いやがれ」

「私は用が済んだらすぐ出ると言っておいた」

「そいつと話し始めたろ。まだいんのかと思うだろーが、普通」

肩付近の上腕部分にもかかわらず、剣帝の手が簡単にまわってしまている。肉がついてんのと不可思議なものを見るかのようなザンザスを気にもとめず、軽く息を吐き出した少年は方向転換した。

「ならとっと行こうぜ。腹へってるし眠みぃんだよ」

「それなら私を食べて欲しいね」

「メシの後でベットでだったら喰ってやってもいいぜ」

手を離し、シャツの上から柔らかな腕の裏側をたどり淫猥な仕草で腰にからみついた男の手を見下ろし、偉そうに返した少年に剣帝は頷いた。

「邪魔をして悪かったよ。御曹司」

少年を促して謝罪ひとつ残して去っていくテュールを見送る際、陽光の中から抜け出たスペルビの頭髪と瞳が白ではなく、それに近い銀色だったのをザンザスは視認した。

しかし先程と同じようにそれは重要なことではない。

ザンザスにとてっては、ヴァリアーもボンゴレも9代目同等に憎悪している剣帝の名を冠する男が、己の味方につくか、どうやって付けるかこそが問題だった。

 

それでも、まるで太陽を見た後に残る白い残像のように焼き付いて離れない奴だと、腕を失って不恰好なスペルビのことを不快に思った。

 

 

 

 

 

題名はイタリア語で愛人。

剣帝の愛人スクアーロ

この後別にザンザスの忠誠誓ったりしないで、そのままずっと剣帝の愛人やってます

あと、このシリーズの剣帝は完全に精神がいかれてます。

実は愛しいから食べちゃいたいとかいうカニバリズムの気もあるので、とある理由で切り落とされたスクアーロの腕を生でむしゃむしゃはむり。骨は砕いて粉末状にしていただきました。

しかし懲りないスクアーロはその後も元気に気分で反抗しますけど。

標的が男娼だったスクアーロの客だったという出会いです。

殺しに行った先のホテルで男に組み敷かれてるスクアーロと目が合って、殺した男の血を浴びても淡々とその死体を押しのけて「代金どうしてくれんだよ。無駄な労力使っただけじゃねぇか」とうんざりしたように吐き捨てられて「私が買おう」とそのばでぱくりと食べて攫ってきました。

以降、自分の愛人として私邸に囲います。

好きでもないけど嫌いじゃない、とスクアーロは気侭に好き勝手に過ごし

ヴァリアー・ボンゴレその他問わず、剣帝が唯一反抗しても許す相手として物凄く有名に

剣帝への頼みごとスクアーロにする人が続出

当然命の危機もあったりで、ベルマモが護衛に(私用に使うな、テュール!でも普段からヴァリアーの人員を使用人扱い。恐怖となんだかんだのカリスマでそれなりに部下は着いてきてるんで)

それなりの護身術を身につけるも、天才的というほどでもない

ザンザスはちょっとしたごたごたの後、家光の下について将来の門外顧問への道を進むのさ

そのさらに後、ツナ達が渡伊してきて10代目に

60間近になっても現役バリバリ元気の剣帝にちったぁ萎えろこのジジィ!!ときいきい言いながら愉快に楽しくすごしてます(御曹司とのアバンチュールはそれなりに会ったんじゃないですかね?)